1.岡田武史氏
(サッカー監督)
『非常識経営の夜明け』 (講談社) より
(序文 「フロー経営」に学ぶ )
私はサッカーの指導者として、選手に理論的に戦術を説明し納得させてプレーさせるのが結構得意なほうでした。そして、ある程度成果も出してきました。
しかし、結果を出しても、いつも何か物足りなさが残っていました。
そこには、私の言ったことを忠実にやる選手はいたが、こちらがあっと驚くような、セオリーに反するひらめきプレーをする選手はいなかったからです。
「人を使う」という意味では経営も似たところがあるだろうと、天外伺朗先生の「フロー経営セミナー」に参加しました。そして、目からうろこが落ちるように私の指導法の問題点が明確になりました。
2.神田昌典氏
(経営コンサルタント、天外塾主催者)
天外先生に弊社で開催していただいた講座 − いまや伝説になっています 。
経営者の頭が、ぐるりとまわって、元に戻る感じです。しかし元の光景は、いままでと同じようでも、まったく違うものを見ています。パラダイムが変わることとは、こういうことなんでしょう! 何年たっても、あのときの講座の参加者とは、一体感があるのが、とても不思議です。
それがきっと人間性の経営なのでしょう。
3.白石豊氏
(福島大学教授、数々のオリンピック・チームを指導した日本の代表的なメンタル・コーチ)
『本番に強くなる』 (筑摩書房)より
(第6章 ゾーン、あるいはフローというピークの状態、2.フローという至高の心理状態)
- このとき私は、宮崎県での指導者講習会で六時間の講演をするために、福島から新幹線で東京へ出て、羽田空港へ向かっていた。東京駅でちょっとした時間があったので、いつものように駅構内の本屋さんに立ち寄って、飛行機の中で読む本を探した。平積みになっているたくさんの本から、一冊の本のタイトルが私の目に飛び込んできた。
天外伺朗著『運命の法則』という本だった。天外さんの本はそれまでにもほとんど読んでいたが、これまでとはちょっと違った書名に惹かれて、手に取ってみた。表紙の返しには、たった一言「好運は意図的に招きよせることができる」とだけ書かれてある。
さらに目次を見ると、「好運の女神」と付き合うための法則が十五章にわたって書かれているということがわかった。第三章には「フローの法則」などと書かれている。これはおもしろそうだと思った私は、すぐに買い求め、あっという間に読んでしまった。
ところで、この本の著者である天外伺朗さんというのは、ペンネームである。本名は、土井利忠といい、ソニーの取締役も務められ、この時点ではソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所の所長だった。天外さんの著作の多くは、われわれの心や精神世界に関係するものが多いのだが、なんと本業はバリバリの工学博士というわけである。
天外さん、つまり土井さんのソニーの仕事というのは、とてもすごいものがある。オランダのフィリップスと組んでCDを世界に先駆けて共同開発したのを皮切りに、ワークステーションNEWS,そしてNHKの『プロジェクトX』でも取り上げられたロボット犬アイボの開発責任者といった具合である。
天外さんは、この本の第二章「燃える集団の法則」の冒頭で、次のうように書いている。「チームが夢中になって仕事をしていると、突然スイッチが劇的に切り替わることがある。その状態になると、どんなに困難な局面を迎えるようとも、必ず突破口が開かれる。新しいアイディアが湯水のようにわき、必要な人材、技術、部品などがまるでタイミングを見計らったかのようにあらわれる。」
また、それに続く第三章「フローの法則」の冒頭では、「自らの内部からこみ上げる喜びや楽しさを追い求めると、人は“フロー”という状態に入ることができる。“フロー”は人にとって、喜びや楽しみの源泉であり、なおかつ、好運を招き寄せる」と述べている。そしてこの章で、チクセントミハイと対談した内容にまで触れている。
この天外さんの本を読んで、私が追求してきた「ゾーンの世界」と「フローの世界」がぴったり重なった。肝心要の時に実力が一二〇%も出るような、ある種神がかった最高の状態に、選手たちが入れる確率を上げたいと思ってメンタルトレーニングの勉強をしてきた私にとっては、発明・発見の世界でもやっぱりそうかと大いに共感させえられたというわけである。
いつか天外さんとお会いしてこの問題について話したいと思っていたら、二〇〇七年の四月に思わぬかたちで実現することになった。経営コンサルタントとして著名な神田昌典さんから、天外さんの「マネジメントセミナー」を東京で半年にわたって行うので、時間の都合がつけば来てみてはいかがというお誘いをいただいたのである。
第一回の飯田橋のセミナー会場には、全国から集まった五〇名ほどの経営者の方々が座っていた。そして案内された私の席の隣には、なんとサッカーの岡田武史監督が座っていたのだった。
セミナー終了後の懇親会では、天外さんをはさんで私と岡田さんが座り、三人でいろいろと意見を交わすことができた。天外さんは、それから三ヶ月後に東京の青山で行われた私の講演会にもお出でいただき、親しくお話させていただくことになった。また岡田さんとも、それ以来何度となくお話をするようになり現在に至っている。
そこでいつも話題となるのは、当然のことながら、「燃える集団をいかにつくるか」とか、「選手をゾーンやフローにいかに入らせるか」ということである。こんなことで話を始めれば、話題は尽きることがない。私たちの会話そのものがゾーンやフロー状態のような感じさえするほどである。
ちなみにチクセントミハイの「スポーツを楽しむ-フロー理論からのアプローチ」というスポーツ版フロー理論の日本語訳が出版されたのは、天外さんの『運命の法則』から一〇ヵ月後の二〇〇五年九月だった。
(中略)また、経営やリーダーシップでのフロー理論の応用に関しては、天外さんの『マネジメント革命-「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ』や『非常識経営の夜明け-燃える「フロー」型組織が奇跡を生む』などを参考にしていただきたい。
